老年看護の高度な実践と発展および、未来を見据えた看護の創造
高齢者理解を基盤とした看護実践力と課題解決力の育成を目指して
人は年を重ねるごとにさまざまな知恵や経験を身につけます。
高齢者の看護は豊かな知恵や経験を有する“その人を尊重する”ことから始まり、加齢や病気に伴う心身の変化に対応しながら暮らす“その人を理解する”こと、そして“その人に応じた看護を実践する”ことだといえます。
また、高齢者を深く理解するには、時代的背景や個人の生活史を含めた全体像を捉える必要があります。
ゆえに本講座では、表情やしぐさという高齢者からのサインをキャッチする豊かな感性を磨くこと、そのサインの意味を解釈する知識を深めること、および高齢者が有する力を引き出すためのケアコミュニケーション技法や、アセスメント能力の向上に関する学修に焦点を当てています。
さらに、今日的課題である身体拘束や認知症看護、専門職連携等に関する教育研究を行っています。
主な教育研究テーマ
- 老年期の発達課題と意思決定への支援
- 看護の国際間比較
- 認知症の人や家族向けのITC活用
- 高齢者・家族のQOL
- ユマニチュード技法の教育効果
- 看護師や介護士の教育プログラム開発
老年看護学講座の歩み
老年看護学講座は、2019年に富山県立大学に新設された看護学部看護学科内の一講座として開設しました。
開設当時は、竹内登美子教授(現在、富山県立大学名誉教授)を中心に、4名の教員から講座運営を開始しました。現在では、8名の教員が所属し、教育・研究活動に取り組んでいます。
2019年から始まった学部教育においては、看護職を志す学生に老年看護の知識・技術の教授し、それらを基にした県内の介護老人保健施設・公的病院における臨地実習を経て、あらゆる健康レベルに応じた看護の方法と、多職種連携を意識した看護展開ができる基礎的能力が身に着くよう教育しています。
2023年からは、大学院看護学研究科(看護学専攻)が新設されました。
本講座では、研究コース(修士課程)および、専門看護師コース(老年看護専攻教育課程)を開講し、看護課題の科学的探究および、高度な看護実践者の育成に尽力しています。